バーチャルオフィス利用の明暗!あなたの業種との相性はいいのか悪いのか?

バーチャルオフィスは、低コストでアクセスしやすく、簡単に利用できるため、新たに起業や副業を始める方には非常に魅力的な選択肢となっています。しかし、全ての業種がバーチャルオフィスのモデルに適しているわけではありません。実際には、知らず知らずのうちに違法行為を犯してしまう可能性があり、最悪の場合、行政処分を受ける恐れも存在します。このようなリスクを回避するためにも、あなたの業種がバーチャルオフィスに適しているのか、事前に確認することが重要です。この記事では、バーチャルオフィスが特に相性の良い業種と、そうでない業種を明らかにし、あなたのビジネスがこの新しい働き方に適しているかどうかを判断するのに役立つ情報を提供します。これからの起業の参考になれば幸いです。

 

 

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バーチャルオフィス利用に不適切な業種

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まず最初に、バーチャルオフィス利用に完全に不向きな業種を紹介します。
これからご紹介する業種は、バーチャルオフィスの利用にあまり適していないものとなります。
あなたがこれから立ち上げるビジネスがこれらの業種である場合、バーチャルオフィスの利用は避けた方が良いでしょう。
しかし、バーチャルオフィスが不向きでも、シェアオフィスやレンタルオフィスは利用可能な場合があるので、それらを含めて総合的に判断することをお勧めします。

人材派遣会社でバーチャルオフィスを登記する問題

人材派遣会社は物品ではなく、人材を扱うため、倉庫等の物理的な空間は必要ないように思えます。また、面談もオンラインで行えば良いと考え、バーチャルオフィスの利用でオフィスコストを削減できると思いがちですが、これは大きな誤解です。
実際には、人材派遣は免許制であり、2015年の労働者派遣法改正により、全ての派遣事業者は厚生労働大臣の許可を取得し、事業を運営する必要があります。許可を得るための要件は以下の通りです。

  • 派遣元責任者を置くこと
  • 派遣事業を適正に運営できる資産・財産を有すること
  • 派遣社員へのキャリア形成支援を適切に提供できる能力・体制を整えること
  • 雇用管理を適切に行う体制を確立すること
  • 個人情報の適切な管理や、派遣社員の秘密保護のための体制を整えること

許可申請は、厚生労働省の管轄する都道府県労働局で行い、許可の有効期間は5年間となっており、その後の更新手続きが必要です。人材派遣会社は、業務の性質上、実際のオフィススペースが必要とされます。従業員との面談やクライアントとの打ち合わせなど、対面でのコミュニケーションが頻繁に発生するためです。また、法令により、バーチャルオフィスの住所を許認可の申請に使用することは許されていません。そのため、人材派遣会社がバーチャルオフィスを利用することには、非常に多くの制約が伴います。

 

 

士業の業種でバーチャルオフィスでの起業はNG

行政書士、弁護士、社労士、税理士など、いわゆる国家資格を持つ士業はバーチャルオフィスとの相性が良くありません。
なぜなら、行政書士や弁護士、税理士が独立開業する際には、各士業をまとめる団体に入会する必要があり、その入会条件として実際のオフィススペースが必要とされるからです。
例として、行政書士のケースを見てみましょう。
行政書士で独立するには、日本行政書士会連合会が管理する行政書士名簿に登録する必要があります。そのためには、行政書士会に属する必要があります。

 

住所をバーチャルオフィスに登録し、実際の作業は自宅で行うという選択肢は選べません。これから独立開業を目指す方、または行政書士などの資格を取得し、将来的に独立を目指す方は、この点をしっかりと理解しておくべきでしょう。独立開業する際にはオフィスに関する資金計画も念頭に入れておく必要があります。

 

これらの士業は、登録や許認可の際に実際のオフィススペースが必要とされています。バーチャルオフィスの住所を使用することは認められておらず、これらの士業に従事する方々は、実際のオフィスを構える必要があります。

探偵事務所においてもオフィスが必要、住所貸し利用は不可

探偵業法により、探偵業を開業する際には公安委員会への探偵業届出が必須とされています。探偵業届出は、開業日の前日までに、管轄する警察署を通じて提出する必要があります。探偵業届出書は警察署の窓口で入手可能であり、誓約書は警察署のホームページからダウンロードできます。また、履歴書、住民票の写し、身分証明書の写し、身元保証人の同意書は本人が作成し、事務所の所在地を証明する書類としては、登記簿謄本または住民票の写しが必要です。

 

ここで重要な点は、探偵事務所の登記において住所貸しやバーチャルオフィスの利用は認められていないということです。なぜなら、探偵業は利用者との間でトラブルが多く発生しやすい性質を持っているため、届け出制が取られており、実際のオフィススペースの存在が求められています。

 

そもそも探偵事務所が届け出制を採用している理由は、利用者とのトラブルを減らし、信頼性を確保するためです。このような理由から、バーチャルオフィスの住所利用は認められていないのです。これらの規制は探偵業の透明性と信頼性を保ち、関係者の安全を確保するために重要なものとなっています。

 

 

ネット通販を含む古物商や不用品回収業者において、バーチャルオフィスの使用は許可されていません。

古物商として開業するには、都道府県公安委員会から古物商許可を取得する必要があります。古物商許可申請書は警察署の窓口で手に入れることができ、また誓約書は警察署のホームページからダウンロード可能です。履歴書、住民票の写し、身分証明書の写し、写真は本人が提供するものとなります。営業所の所在地を証明するためには登記簿謄本または住民票の写しが必要です。古物市場等の参加資格を証明するためには、古物市場等の参加資格を証明する書類を提供する必要があります。登記に使用する住所としてバーチャルオフィスの住所の利用は認められていません。これはネット通販においても同様で、古物商の免許を取得してネット販売を行う場合にも注意が必要です。バーチャルオフィスの利用は認められていないため、実際のオフィススペースを確保する必要があります。

 

 

不用品回収業者にとっても、バーチャルオフィスは適していません。

 

近年、不用品回収業者が古物商許可を取得するケースが増えています。これは、不用品回収には本来、行政からの産業廃棄物処理業の許可が必要だからです。しかし、産業廃棄物処理業を行うためには、都道府県や政令指定都市からの許可が必要であり、施設、能力、財務面での高い基準を満たす必要があります。そのため、古物商許可を取得し、不用品回収と古物販売を組み合わせたビジネスモデルが採用されています。このモデルでは、運搬や作業料金と買取料金を相殺する形を取っています。


バーチャルオフィス利用に適している業種

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先に、バーチャルオフィス利用に不向きな業種について説明しましたが、今回は逆に利用に適している業種を紹介します。ここで挙げる業種は、バーチャルオフィスを利用している実績があります。もし、あなたのこれからの起業計画が以下の業種であれば、バーチャルオフィスを利用し、コスト削減を図ることができます。

ホームページ制作会社

コロナウイルスの影響で、リモートワークが広まり、特にウェブサイトのデザインと制作に関わる企業においては、この働き方が増えています。クリエイターやデザイナーはリモートワークと非常に相性が良く、物理的なオフィススペースの必要が少ないためです。顧客とのコミュニケーションに関しても、ZOOMなどのオンラインツールを利用することで、直接会う必要がなく、外出することなく業務を遂行できます。
これらの業種では、デザイナーやクリエイターが主要な構成員となり、彼らの作業はオンラインでも効率的に進めることが可能です。そのため、バーチャルオフィスの利用は非常に適しており、オフィスに関するコストを削減する一方で、社員にとってもリモートワークの機会が提供され、柔軟な働き方が喜ばれるでしょう。バーチャルオフィスは、初期コストを抑えながらプロフェッショナルなビジネスアドレスを提供し、企業のブランドイメージを維持・向上させる助けとなります。

 

 

DTP及び各種デザイン制作会社

ホームページ制作会社と同様に、DTPや企画デザイン会社もバーチャルオフィスの利用に適した業種と言えます。これらの会社では、大部分の社員がデザイナーであり、場合によっては社長もデザイナーであることが多いです。

 

デザインの仕事はデジタルツールを用いて行われるため、オンラインでのコミュニケーションとファイル共有を活用することで、物理的なオフィス空間に拘束されずに効率的に仕事を進めることが可能です。クライアントとの打ち合わせやデザインの進捗確認も、オンラインミーティングツールを利用することでスムーズに行えます。

 

バーチャルオフィスの利用は、オフィスのリースやメンテナンスコストを大幅に削減できる一方で、プロフェッショナルなビジネスアドレスを提供し、企業の信頼性を保つ助けとなります。また、リモートワークの導入は、従業員にとってもより柔軟な働き方を可能にし、ワークライフバランスの向上にも寄与します。このように、DTP及び各種デザイン制作会社は、バーチャルオフィスを有効に利用してビジネスを展開することができます。

 

 

客先常駐型コンピュータソフトウェア請負会社

コンピュータソフトウェアの請負会社におけるプログラマーやシステムエンジニア(SE)の活動は、主に客先常駐型と自社でのプロジェクト実施という2つのスタイルに分かれます。どちらのケースでも、ソフトウェア関連の企業はバーチャルオフィスの導入により多くの利点を享受できます。

 

技術者たちは多くの場合、サブコントラクターやサードパーティとして開発プロジェクトを担当し、大半の作業はクライアントのオフィスで実施されます。このため、自社のオフィスでの作業時間は比較的限られており、広いオフィススペースの確保は必要最小限に留められます。基本的には、管理業務や事務作業を行うのに十分な小規模なスペースを持つだけで良いのです。これにより、オフィス運営にかかるコストを大きく削減することが可能となります。

 

ただし、このシナリオは主に請負業務に焦点を当てている場合に適用されます。もし技術者たちが人材派遣業務と請負業務を兼業している場合は、事情が異なります。人材派遣業務においては、適切なオフィススペースの確保が必要となるため、バーチャルオフィスだけでは対応が難しい場合もあります。それを考慮に入れて、バーチャルオフィスの利用を検討することが重要となります。

 

ネットショップ通販

ネットショップ通販は、バーチャルオフィスの多くの利点を存分に享受できる領域となっています。特定商取引法に従ったいくつかの規制は存在しますが、バーチャルオフィスの採用は完全に許可されています。アマゾンや楽天などの大規模なオンラインマーケットプレイスを活用している多数の事業者は、バーチャルオフィスの採用によってオフィス管理コストを大幅に削減しています。オンラインリテールの世界では価格戦争が激化しているため、オフィス運営コストを低減することで、事業の競争力を高め、市場での立ち位置を強化することが可能となります。バーチャルオフィスは、低コストでプロフェッショナルなビジネスアドレスを提供し、通販事業者にとって価格競争力の強化と効率的なオペレーションを実現する貴重な手段を提供します。

 

カウンセリング専門家

最近では副業としてカウンセリングを行う方が増加していると聞かれます。現代社会は「心の時代」とも言われ、多くの人々が様々な悩みを抱えています。個人のビジネス問題、人間関係、恋愛、学校の問題など、多岐にわたる悩みを解決するカウンセリング専門家は、社会からの需要が高まっている重要な職種となっています。しかしながら、カウンセリングは高額な収益を期待するような分野ではなく、従って多くのカウンセリング専門家は副業としてこの仕事を行っています。高い費用をかけて事務所を構えることは難しいため、バーチャルオフィスの利用は非常に合理的な選択となります。

 

多くのカウンセリング専門家は、バーチャルオフィスの住所をビジネスアドレスとしてウェブサイトに掲載し、クライアントとの対面セッションにはレンタルスペースを利用することが多いです。さらに、最近ではZoomなどのオンラインツールを使用したオンラインカウンセリングも増えてきており、これによりさらにコスト削減と効率的なサービス提供が可能となっています。

 

このように、バーチャルオフィスはカウンセリング専門家にとってコスト削減を実現し、プロフェッショナルなビジネスイメージを保つ上で、非常に適した選択肢と言えます。バーチャルオフィスとオンラインツールの利用は、カウンセリング専門家にとって効率的でコスト効果の高いビジネス運営を支える重要な要素となっています。

 

ビジネスコンサルティング

ビジネスコンサルティングは、企業や個人事業主に対して専門的なアドバイスや解決策を提供する業界であり、現代の競争社会において重要な役割を担っています。コンサルタントは、クライアントのビジネス戦略を最適化し、組織の効率を向上させ、市場での成功をサポートするためのガイダンスを提供します。しかし、この分野においては、高額なオフィスレンタル費用が重大な負担となることがよくあります。

 

バーチャルオフィスは、ビジネスコンサルタントにとって魅力的な選択肢となっています。バーチャルオフィスは、プロフェッショナルなビジネスアドレスを提供しつつ、オフィスの運営費用を大幅に削減することが可能で、これによりコンサルタントはより多くのリソースをクライアントへのサービス提供に集中できます。

 

多くのビジネスコンサルタントは、クライアントとのミーティングやワークショップをオンラインで行ったり、必要に応じてレンタルスペースを利用したりしています。特に現在のデジタル時代においては、オンラインコミュニケーションツールやデジタルプラットフォームが豊富にあり、物理的なオフィススペースの必要性は減少しています。

 

バーチャルオフィスの利用は、コンサルタントにとってクライアントとの関係構築やプロジェクト管理、コスト効率の向上など、ビジネスの多くの側面で利点をもたらします。さらに、バーチャルオフィスは、コンサルタントがクライアントとの信頼関係を築き、専門的なイメージを保つ上で重要な役割を果たします。このように、バーチャルオフィスはビジネスコンサルティング業界において、効率的かつプロフェッショナルなサービス提供を支援する有効な手段となっています。

 

出張サービス業

整体サービスのような出張サービス業者は通常、物理的な店舗を持つことが推奨されるものの、そういった設備を持つことが難しい場合も少なくありません。このようなシナリオでは、サービス提供者はレンタルスペースを利用したり、自宅でサービスを提供することが一般的です。だが、自宅の住所を公開することに対する抵抗感がある場合、バーチャルオフィスは優れた選択肢となります。

 

出張自転車修理、出張オイル交換、出張PC修理といったトラブル解決サービスは、オンラインでの集客が非常に効果的であるため、バーチャルオフィスを通じてビジネスを展開することができます。バーチャルオフィスは、プロフェッショナルなビジネスアドレスを提供し、同時に事業者のプライバシーを保護するための素晴らしいソリューションとなります。

 

バーチャルオフィスの利用は、出張サービス業者にとって、オンラインでの信頼性と専門性を保ちながら、固定のオフィススペースの高コストやプライバシーの問題を避けるための効果的な手段を提供します。これにより、サービス業者は集客とサービス提供に焦点を合わせ、同時にビジネスの運営コストを最小限に抑えることが可能となります。


多様な業種で活用拡がるバーチャルオフィス

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バーチャルオフィスは、低コストでビジネス拠点を設けることができるため、様々な業種においてその利用が広がっています。特にホームページ制作やDTPデザイン、ビジネスコンサルティングなど、オンラインでのやりとりが主である業種では、バーチャルオフィスの利用がオフィス運営コストの削減に繋がります。また、出張サービス業のように物理的な店舗を持つことが難しい業種でも、バーチャルオフィスはプロフェッショナルなビジネスアドレスの提供と、プライバシーの保護に役立ちます。さらに、ネットショップ通販やカウンセラー、各種代行サービスなど、新しいビジネスモデルにおいてもバーチャルオフィスの利用は価値を提供しています。これらの業種においてバーチャルオフィスを利用することで、事業者は固定のオフィススペースの高コストを避けながら、サービスの質や顧客満足度の向上に焦点を合わせることが可能となります。


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